ONLOOKER Ⅲ


あれだけ嫌悪感を隠しもせずに接し、挙げ句に感情的に言葉の暴力を振るった乃恵を、友達だと言い切ったのだ。
人が良いというか、優しすぎるというか、それとも、乃恵の態度の裏側にあるものを、知っていたのか。
少なくとも自分たちにとっては相当感じが悪かった、と彼女の振る舞いを思い出すが、「乃恵ちゃん素直じゃにゃいけろねぇ」と嬉しそうに言った恋宵を見て、きっとこの人は分かっていたのだと、思うことにした。

「会見で全部話すって。今までのことも、これからのことも」

聖はそう言って、時計を見上げた。
2時まであと、1時間と2分だった。

「…………なぁ、お2人さん」
「はい?」
「あと2分で……5時間目始まるよね」
「あ、ホントだ」
「ええぇぇぇ!! 直姫急いで!!」


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