ONLOOKER Ⅲ
また来た
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案の定。とでも、言うべきか。
直姫は、ことが起きてからようやく、あの五人に関わるとろくなことにならないという言葉を、身に沁みて、充分過ぎるほどに理解していた。
少しの遠慮もなく、はぁと溜め息を吐く。
もしかしたら、雨だから溜め息を吐くのではなく、溜め息が雨を降らせているのではないだろうか。
「……またか……」
「おっせーよてめー、サイリンジくん」
「重役出勤とはいーご身分だねぇ」
面倒な顔触れが、またしても生徒会室のソファーに並んでいた。
今日は千佐都を除く四人だが、彼女がいないほうがある意味で厄介かもしれない。
いや、彼女がいたところで抑止力になるのかもいまいちわからないし、なによりどう接していいかもわからないのだから、同じことだろうか。
そう思い直して、直姫は彼らにちらりと視線を流した。
「ねぇ、千佐都、ピアノのレッスンもさぼって僕たちに泣きついてきたんだけど?」
「どーゆうことか説明しろよ、オイ」
「『もう年下の可愛い系なんか好きにならない!』だってよ」
「ガチムチのおっさんに走ってもうたらどないしてくれんの、なぁ」
「え……いや、それは」
自分のせいではないのでは、という言葉を飲み込んだ。
明らかに怒っている、しかも自分の秘密を握っているかもしれない相手に対して、わざわざ逆上させるようなことを言うほど、マゾでもサドでもない。