ONLOOKER Ⅲ


同じ学年であり同じ校舎を利用していて、教室もそれほど離れていない紅や准乃介がよく知っているのなら、まだ分かる。

しかし、あまり関わりのなさそうな聖も彼女と繋がりがあったとは。
直姫を通して千佐都とも知り合いになっていた真琴が、意外そうな声を上げた。

が、聖が答えるより先に、紅が言う。


「あぁ、そうか、もしかして……井上繋がりか?」
「井上……先輩? って、聖先輩と同じグループの、ですか?」


同じグループ、というのはつまり、聖の仕事仲間──彼が所属するアイドルグループ、『KNIGHT』のメンバー、ということだ。

聖が時々話題に出す、井上涼介という人物。
それを聞いた直姫には、一つ思い当たるふしがあった。


「え、それってもしかして、あの人生ゲームの」
「そーそ。あの趣味わっるい奴ら」


少し前、イギリスからの留学生、志都美里吉が日本に滞在していた間のことだ。

里吉の世話係という面倒な役割を押し付けられたために、放課後は生徒会室ではなく、全員で紅の家に集まっていた。
生徒会の仕事を済ませてしまうという名目ではあったが、高校生八人が、くつろげる広い部屋に集まって、しかもいつも目を光らせている紅が疲労困憊の状態で、真面目に仕事などするはずもない。
その時、大人数で遊ぶのに丁度よさそうなテーブルゲームをいくつか持ち寄っていたのだが、直姫が思い出したのは、そのことだった。

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