ONLOOKER Ⅲ


「紅ちゃん庇って、スッパリいっちゃったにょろよ~、直ちゃんが」
「ちょっと……びっくりさせないでよ……」


膝に手を突いて項垂れた准乃介が、大きく溜め息を吐く。
聖は苦笑しているし、真琴は特に理由もなく「すいません」と謝った。


「それで、直姫、大丈夫なの?」
「あ、はい、全然。絆創膏でいいくらいです」


包帯とか大袈裟なんですよ、と、直姫は片方の眉を上げた。
一応でもこう聞いてくれるのが准乃介の優しいところで、これが聖だったら、正直に「俺の心配返せよ!」とくずおれていたところだろう。

だが紅は睫毛を濡らし、悲痛に目を伏せていた。


「直姫っ、すまない……! もし傷痕なんか残ったら……この責任は私が必ずっ」
「もー紅先輩落ち着いて! 責任ってなに、嫁の貰い手にでもなる気?」
「良かったね、直姫。玉の輿……いや、逆玉?」
「え? 逆玉? いや、てゆーかいいです無理ですなに言ってるんですか」


あまりにも支離滅裂な状況に、准乃介は頭を抱えた。


「……よーするに、なに……?」
「あ、紅先輩なら無事ですよ」
「うん……ホントに?」
「准せんぱぁい、紅ちゃんなんとかしてにゃあ」
「あーはいはいよしよし、もー大丈夫ですよー」
「ふざけるな! ばか!」

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