ONLOOKER Ⅲ
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翌日。
授業の合間、メールが入っていることに気付いて、直姫と真琴は中庭に出た。
西校舎と北校舎の間にできた日陰に、目立つ五人が勢揃いしている。
渡り廊下を通る生徒がちらちらと視線を寄越す中、話を聞いていた真琴は、思わず声を上げた。
「え、豊中さん、昨日は欠席だったんですか!?」
聖が直々に聞き込み調査を行うまでもなく、入った情報は、そんなものだった。
昨日の時点では最有力候補だった彼は一昨日から風邪をこじらせて学校を休んでおり、昨日の放課後にあった出来事を、まだ知ってすらいないかもしれないというのだ。
一般生徒には明かされていないものの、生徒会からは目を付けられている人物だ。
わざわざ欠席の連絡を入れておきながら学校へ来て、普段ならば二年生の立ち入らない北校舎の屋上から、鉢植えを落とす。
そんな目立つ行動を取れば自分を疑ってくれと言っているようなものだし、目立たないように出来ることではない。
当然、ここ二日間で彼を見かけた生徒は、一人もいなかった。
「アリバイがあるってわけですにゃ」
「でも、あんな重い物をあの二人のどっちかが……? それとも、犯人は別にいるんでしょうか」
「いや、どっちにしても、誰にも見られないでなんて無理があるでしょ……昨日の鉢植えは放課後すぐだったから、北校舎にも中庭にも、それなりに人がいたし」
「じゃあやっぱり、不自然に思われずにやるなら……、三年生ですかね」
「ん……あれ、直姫?」