ONLOOKER Ⅲ

 * *

その日、彼ら七人が生徒会室に集まったのは、昼休みだった。
情報交換だけならばわざわざここまで出向くこともないが、今朝の事件はさすがに、他の生徒に聞かれていい話ではない。


「うーん……たぶん、本物の髪の毛にょろねぇ」
「えっ、こわい」
「エクステとか、いいやつはだいたい人毛にゃよ? ネットで簡単に手に入るし、そんなに珍しくないにょろ」
「そうなんですか!?」
「脅迫状には、なんて?」


そう訪ねた直姫の手に、ひらりと一枚の紙が落とされた。
封筒の中に、髪の毛と一緒に入っていたものだ。

『生徒会をやめろ。生徒会に近付くな。』
赤い文字で、それだけが書かれた真っ白い紙は、異様以外のなんでもない。


「犯人の狙いは、紅先輩の孤立……?」
「じゃあ犯人は玉川?」
「いや、でも、生徒会の中の誰かから、紅先輩を引き離したいのかも」
「順当に考えれば、紅先輩が特別仲良いのは、准先輩にょろねぇ」
「べっ、別に特別なんかじゃ」
「はっ……! もしかしたら、あたしかもしれないにゃ」
「バカなの」
「無視か!?」

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