スペシャルバカノノビシロ
激昂しながらも心の片隅で。

(これが…俺の力…?)

龍太郎は己の強さに驚愕していた。

幼い頃は…少なくとも中学卒業までは手も足も出なかった兄、龍二。

しかし天神学園に入学して半年も経過しないうちに、その力関係はすっかり逆転してしまっている。

地面に転落した龍二目掛けて飛び降りた龍太郎は。

「ぐふっ!」

龍二の腹に膝蹴り!

更に髪の毛を掴んで無理矢理起き上がらせて、右中段正拳突き!

只の正拳。

空手においては基本中の基本でしかない正拳突きによって。

「うぐぅっ!」

龍二は寮の敷地を囲むコンクリートの塀に激突し、それだけにとどまらず塀を突き抜けて道路へと投げ出された。

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