スペシャルバカノノビシロ
龍太郎の手には、ハンカチが握られている。

気絶している間に、小夜がずっと龍太郎の額に濡らしたハンカチを置いて冷やしていてくれたのだ。

意識を取り戻した彼は、小夜が遠慮するのも押し切って、洗って返すと持ち帰った。

(あいつにはかっこ悪ィとこ見られてばかりだな…)

あまり小さな事は気にしない龍太郎が、今日ばかりは沈んだ表情を見せる。

…天神学園に入学して約五ヶ月。

喧嘩自慢で腕っぷしだけが取り柄だった龍太郎。

だが、その取り柄が揺らいでいる。

< 2 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop