スペシャルバカノノビシロ
立ち上がる龍二。

龍太郎は兄を見上げる。

…頭一つ背の高い龍二。

だがその身長以上に、龍二は大きく見えた。

きっと武者修行を経て、昔よりもずっと強くなったに違いない。

幼い頃から龍太郎に稽古をつけてくれていた龍二。

龍太郎の知る技の全ては、彼が仕込んでくれた。

時には兄弟喧嘩もした。

そして龍二に勝てた事は一度もなかった。

龍太郎敗北の歴史は、彼から始まっているのかもしれない。

「……」

自然と視線を下げてしまう龍太郎。

その視線に。

「……!」

床に転がったスイーツの空容器が入った。

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