ボーカロイドお雪
第二章 偽りの歌姫
さて悪夢のような一学期の期末試験も終わり夏休みに入った。結果?自慢じゃないけど、あたしは音楽以外の科目は全部平均以下だ。でも赤点は一科目もないから、まあこんなもんでしょ。
記念すべき高校生活最初の夏休みの一日目の夕方、あたしとお雪はかねてからの計画を実行に移した。
片手でハードケースに入ったフォークギターを抱え、もう片方の手で車輪付きのキャリーバッグをゴロゴロと転がしながら、あたしはあの公園に向かった。キャリーバッグの中にはお雪のディスクが入ったノートパソコン。小型のスピーカー。マイク付きのヘッドホン。コード数本。そしてリサイクルショップで買ったバイク用のバッテリー。あの公園には電源がないから。
いや結構重い。多分こうなるだろうと思って、今日のあたしはジーンズにTシャツという色気のない服装。あたしは汗を顔にしたたらせながら、ようやく公園にたどり着く。とりあえず水道で顔の汗を流し、屋根のあるベンチに移動して機材をセッティングし始めた。
バッテリーをベンチの下に置き、ノートパソコンの電源コードをつなぐ。ノートパソコンを起動しお雪をスタンバイさせる。パソコンのマイク端子とスピーカーをコードでつなぐ。これは送電を兼ねているからスピーカーはこれで動く。
そしてヘッドホンのコードをパソコンの音声入力端子につなぐ。でも、この端子は実はパソコン側でオフにしてある。つまりつながっているように見せかけているだけ。これがお雪が教えてくれた仕掛けのミソ。
最後にケースからギターを取り出して各弦の音程を調節する。まず音叉の響きに第五弦を合わせる。その弦の合わせて他の五本の弦の音程を合わせていく。いわゆるチューニング。これが終わると準備完了。
あとはあの人が公園にやって来るのを待つだけ。そろそろのはず。
そう、あたしがギターを弾き、それに合わせてパソコンの中からお雪があたしの作った曲を歌う。あたしはそれに合わせて口を動かす。いわゆる口パク。でも見ている人にはあたしが口元のマイクを通して歌っているように見えるはずだ。
記念すべき高校生活最初の夏休みの一日目の夕方、あたしとお雪はかねてからの計画を実行に移した。
片手でハードケースに入ったフォークギターを抱え、もう片方の手で車輪付きのキャリーバッグをゴロゴロと転がしながら、あたしはあの公園に向かった。キャリーバッグの中にはお雪のディスクが入ったノートパソコン。小型のスピーカー。マイク付きのヘッドホン。コード数本。そしてリサイクルショップで買ったバイク用のバッテリー。あの公園には電源がないから。
いや結構重い。多分こうなるだろうと思って、今日のあたしはジーンズにTシャツという色気のない服装。あたしは汗を顔にしたたらせながら、ようやく公園にたどり着く。とりあえず水道で顔の汗を流し、屋根のあるベンチに移動して機材をセッティングし始めた。
バッテリーをベンチの下に置き、ノートパソコンの電源コードをつなぐ。ノートパソコンを起動しお雪をスタンバイさせる。パソコンのマイク端子とスピーカーをコードでつなぐ。これは送電を兼ねているからスピーカーはこれで動く。
そしてヘッドホンのコードをパソコンの音声入力端子につなぐ。でも、この端子は実はパソコン側でオフにしてある。つまりつながっているように見せかけているだけ。これがお雪が教えてくれた仕掛けのミソ。
最後にケースからギターを取り出して各弦の音程を調節する。まず音叉の響きに第五弦を合わせる。その弦の合わせて他の五本の弦の音程を合わせていく。いわゆるチューニング。これが終わると準備完了。
あとはあの人が公園にやって来るのを待つだけ。そろそろのはず。
そう、あたしがギターを弾き、それに合わせてパソコンの中からお雪があたしの作った曲を歌う。あたしはそれに合わせて口を動かす。いわゆる口パク。でも見ている人にはあたしが口元のマイクを通して歌っているように見えるはずだ。