ボーカロイドお雪
 しかし墓地を出たすぐの所に古ぼけたバンが停まっていた、そして運転席のドアを開けて一人の中年の男の人が降りてきた。その人を見た瞬間、あたしはまたまたびっくり仰天した。
 それはあたしにお雪を渡した、あたしの町のソフトショップの店主の、あのおじさんだったからだ。
 雪子ちゃんのお母さんが、気のせいかおじさんから少し顔をそむけるような姿勢で言う。
「じゃあ、ちゃんと家までお送りしてよね。年頃のお嬢さんなんだから」
 おじさんの方も顔はこっちに向けても目を雪子ちゃんのお母さんから微妙にそらすような感じで答える。
「ああ、分かってる。さあ、かすみ君だっけ。助手席に乗って」
 それから雪子ちゃんのお母さんに向かって言う。
「とにかく、礼は言っておくよ。それじゃあな」
 あたしは次々と起こる予想外の出来事にすっかり唖然としてしまっていた。なんで、一体どうしてこのおじさんがここに現れるわけ?このおじさんと夏樹雪子ちゃん、あ、じゃ、なかった、草薙雪子ちゃんとどういう関係が?
 あっ!あたしはその時やっと、さっき心に引っかかった何かの正体に気付いた。
 草薙雪子。
 ソフトウェアショップ「クサナギ」。
 草薙とクサナギ……そして「雪子」と「お雪」……
 それってまさか……
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