あなたと私
「あ〜、緊張する」
一言、声を零し職員玄関から学校に入った。
職員室に入ると、香水の香りが鼻を掠めた。
あまり好きではない、甘ったるい香りに心底うんざりする。
「藤崎先生ぇ」
きた…………。
必要以上に胸元をいやらしく開けた、女性。
嫌気が差すほどの、甘ったるい声に顔をしかめた。
「おはようございます」
これがいわゆる、営業スマイル。
悪くいえば愛想笑い。
いや、苦笑い?
正直、かなり苦手なこの女性。
遠藤華那子(えんどう かなこ)
俺と同期の先生で、付き合いは切れないみたいだ。
「藤崎先生、今日もかっこいい〜」
「あはは、なにを言うんですか」
いつもそうだ。
俺の周りはこんな女ばかりだ。
もっとこう、違うんだよなあ………。
俺が求めてんのは。
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