あなたと私
おい、俺!
相手は高校生だぞ!
心の中でそう渇を入れ、教室を出た。
―――…。
体育館に座る彼女を、ずっと見つめてしまう俺はなんなのだろう。
やっぱり、可愛いよりは綺麗な感じがするのに。
あの一瞬見せた顔を思い出せば、そのギャップに胸が高鳴る。
背は、低め。かなり、低い訳ではないが、高くもない。
肩より少し伸びた髪は、さらさらで。
体育館に入る春風が、時折髪をなびかせていた。
毎年憂鬱な始業式も苦では無く、自分が自分じゃなくなるような感覚に明らかに動揺を隠せずにいた。
一瞬、彼女がこっちを向いた。
ドキ……。
彼女の目線に耐えられず目を逸らす。
誰か……捜してる?
ドキ…ドキ…
て、おい…。
俺、なんでドキドキしてんの…。
相手は高校生だぞ…?
気のせい、気のせい…。しっかりしろよ、俺。
ぐっと、一瞬過ぎった気持ちを隠すように目を瞑るとまた前を見る。
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