Marry me!
冷蔵庫にある野菜を片っ端から刻んでいく。
人参、キャベツ、玉葱、セロリ…
手を動かしながら考えるのはさっきの事。
ミトの同僚、長谷川隆司。
彼から突然プロポーズをされた。
何を考えているのだろう?
本当有り得ない。
私のこと何も知らないくせに。
考えれば考える程イライラしてきて
野菜を鍋に投げ込み煮込む。
イライラしたり、考え事をしている時に野菜スープを作るのは昔からの癖みたいなもの。
ひたすら野菜を刻んでいると気持ちが落ち着いてくるから。
けれど今日は違った。
野菜を刻んでも、スープを食べても気持ちは落ち着かなかった。
恋愛に夢見ている歳ではないけど、プロポーズってもっと嬉しいものだと思ってた。
「…もう会うこともないだろうし、早く忘れよ。」
独り言を吐き出し、残りのスープを飲み込んだ。