太陽に恋をした
私達は先に、宿舎へ戻った。
だけど、愛美は5分もしないうちに戻ってきて拓真にフラレたことを明るく話し始めた。
本当は辛いはずなのに、明るく話せるなんて……凄いなぁと思った。
私は、愛美に聞かずにはいられなかった。
「辛くないの?」
「そりゃあ、辛いけど……玉砕覚悟の告白だから、逆に吹っ切れたよ。フラレるのは分かっていたからね。稲葉くんが、あたしを見てくれていないこともはっきり分かってたし。言わずにモヤモヤしてた時よりかうってスッキリしちゃった」
「……そっ、そんなもん」
「そんなもんだよ。稲葉くんなら、今は佐野さんと一緒にいると思うよ」
えっ、佐野さんと一緒?
佐野さんは、いつも拓真に積極的に近付いていく。
すると、愛美は拓真と佐野さんが一緒にいる理由を話し始めた。
「あたしが、稲葉くんに告白してる所を見てたらしくて、フラレたら……ざまみろって言われたの。どちらかと言えばフラレたことより、そっちの方が悔しかったよ」
私も、愛美の立場なら同じ気持ちになると思う。
「佐野さんって、積極的だけど、そういうのは良くないよね」
亜希の一言に、みんな納得して『うん、うん』と頷いた。
佐野さんは同性から嫌われるタイプの性格だから、女子の友達があまり居ないらしい。まあ自業自得だと思うけど。
本人が特に気にしてる様子もないから、佐野さんと友達になりたい人は誰も居ないのが現状である。