太陽に恋をした
線香花火が、パチパチと音が鳴ってるのを見るのが、私は大好き。
そして、あっという間に終わってしまった。
拓真はバックからペットボトルを取り出し、線香花火に水をかけて、ビニール袋にいれて、それをまたバックにしまった。
「拓真、なんでこんな危険なことしたの?」
「大人になった時に、いい思い出になると思ったんだよ。ただ……みんなと臨海学校に来たってだけよりは、ちょっと危険なことをした方がより印象に残ると思ったんだ」
「それは、言えてるかもしれないね。でも、なんで相手に私を選んだの?」
「男同士だと、気持ち悪いし……だから1番の女友達である菜月を選んだんだ」
拓真にとって私は……やっぱり友達なんだと痛感した。
分かっていたけど、こんなことされたら、期待しそうになるでしょ。期待した私がバカだけど……
この時、拓真は本当に空気が読めなくて鈍感であることを痛感した。
自分のことは後回しで、他人を喜ばせようとするあたり、そこが拓真の良さなんだよね。
今だって、私を楽しませる為なのは分かる。
危険なリスクを犯しているって分かってても、やっぱり拓真の気持ちは嬉しい。
「……拓真、早く戻らないと門限になっちゃうよ」
「そうだな、走るぞ菜月」
私たちは、すぐ側だけど走って宿舎へと戻った。
宿舎へ着くて、先生の監視が無いかビクビクした。
どうやら先生達は、まだ肝試しの後片付けから戻って来ていなかったので安堵した。
部屋に戻ると、みんなは知らないフリをして、何も聞いて来なかった。
きっと、ここにいる人達は皆、私が拓真を好きなことを知ってると思う。――当人を除いて