太陽に恋をした
あぁ……明日はとうとう苦手な遠泳が行われる。
たいした距離ではないけど、やっぱり海で泳ぐのは怖くて、溺れるんじゃないかって心配が頭から消えない。
消灯時間になったので先生達が見回りに来る前に、電気を消して布団の中に入った。
私は、不安でなかなか寝付けなかった。
やがて先生達が見回りに来て、静かに寝ているのを確認すると、すぐに去って行った。
向かいに、寝ていた亜希が話し掛けてきた。
「菜月寝た?」
「起きてるよ、そう簡単に眠れないよ」
「そうだよね。明日の遠泳頑張ろうね」
「うん、そうだね」
「じゃあ寝ようか。いつまた、見回り来るか分かんないし」
亜希に相槌を打つと、次第に目がトロンとなった。
そして、いつしか深い眠りについた。
朝――目が覚めると、極度の緊張に包まれた。
朝食を食べ、少し休憩した後、海へと移動した。
いよいよ、遠泳が始まる。
金槌の人は、浮き輪を使ってもいいルールになっている。
私も海での泳ぎには自信がないから、無理をせず浮き輪を使うことにした。
遠泳で、負けたクラスは夜のキャンプファイアーの準備をしなくちゃならない。
だから、最下位にならないように頑張らなくちゃいけない。向かいの島までは、500m弱くらい。
帰りも泳いで帰って来るけど、順位は島に着いた時の総合点で決まる。
ついに、スタートの号砲が砂浜に鳴り響いた。
キャンプファイヤーの準備は、簡単に言うと……罰ゲームみたいなもの。
拓真は何がなんでも罰ゲームを避けようと、かなりの勢いで――スタートダッシュして行った。
女子は、ほとんどの人が浮き輪を使って泳いでいる。
私も絶対に罰ゲームを避けたくて、必死に頑張った。
私がゴールに辿り着くと、拓真は1着でゴールしたことを自慢してきた。
全員が無事にゴールし、罰ゲームのクラスが発表された。
罰ゲームになったのは、佐野さんがいる4組だった。
私たちのクラスは、優勝だったからキャンプファイアーの時間までは、自由時間となった。
その前に、向こう岸まで泳いで戻らなくちゃいけないけど……今度はゆっくり泳いでもいいから気持ちは楽だ。