太陽に恋をした
そして、いよいよキャンプファイヤーが始まった。
私はフォークダンスが一番の楽しみ。
拓真と手を繋ぐことが出来ればいい……私の願いは、それだけだった。
フォークダンスの時は、親好を深めるため、クラスは関係なく輪を作ることになった。
キャンプファイヤーの火を囲んだまま輪になると、拓真はちょっと離れた場所にいた。
あそこまで回るかな?。
なんか、その前に曲が終わりそうな予感がするな。
ドキドキしていると、フォークダンスの音楽が始まった。
ふと気になって拓真の方をを見ると、拓真が一番最初に手を繋いだ相手は佐野さんだった。
佐野さんは、さっき無理矢理、あの場所に割り込みしてたのが目に入った。
私は……あんなことは絶対に出来ない。
それ以前にズルなんて絶対にしない。
曲が中盤に入った時、手を繋いだ相手は遥斗だった。
遥斗は、私の耳元にそっと呟いた。
「菜月……絶対に、拓真まで回るから。安心しろ」
遥斗には拓真を好きだってことを、完全に見透かされているから。
だから……そんなことを言われても別に驚かない。
一緒に踊りたいって思ってる……見透かされるのは、顔に出すぎってこと?
これからは、もっと顔に出さないように気をつけなきゃと思った。
曲が中盤から、終盤に差し掛かった。
拓真との距離は、あと僅かになった。
遥斗が言った通り……これなら拓真まで回ると確信した。
そして、ついに拓真まであと一人となった。
曲がもう少しで終わゃう。
神様、お願いだから拓真まで回して下さいと、心の中で言ってた。
そして……その願いは見事に通じた。
拓真と手を繋いだ瞬間……胸がドキドキした。
心臓の音が拓真に聞こえるんじゃないかってくらい、距離が接近した。
好きな人と手を繋げるのがこんなに嬉しいなんて。
拓真と繋いだ手を離す瞬間で曲が終わった。
最後に手を繋いだ人が、拓真で良かったと思った。
楽しかった臨海学校が幕を閉じ、夏休みに突入した。