太陽に恋をした
夏休みも終盤に差し掛かったある日のこと、拓真から突然電話が掛かってきて驚いた。
「菜月、明日ヒマ?」
「ひっ、ヒマだけど……」
「遊園地のフリーパスが4枚あるから、良かったら、4人で遊びに行けたらいいなって思ったんだ」
行くよ……拓真からの誘いなら行くに決まってる。
「私なら大丈夫だよ。遥斗には拓真が連絡するんだよね〜。亜希には、私が連絡してあげるから」
「じゃあ……亜希への連絡は菜月に任せるよ。遥斗と連絡取れたら、また電話するから」
「うん、分かった」
それだけ言うと、拓真は電話を切った。
私は早速、亜希に電話を掛けた。
拓真からの誘いの話をしたら『本当に!? 絶対行く』と亜希も喜んでいた。
「じゃあ、拓真にOKって伝えるよ」
私は、亜希に最終確認した。
「嬉しい誘いだよ。明日、遥斗と二人きりになれるチャンスあればいいなぁ」
亜希にとって拓真からの誘いは、これ以上ない絶好のチャンスが訪れたと言っても過言ではない。
拓真からの折り返しの連絡はすぐにあり、明日は4人で遊園地に行くことに決まった。
朝の9時に、駅で待ち合わせすることになった。
友達同士で遠出するのは初めてのこと。
だから……今から明日が楽しみでしょうがない。
そのせいで、なんだか落ちつかず……夜はほとんど眠れなかった。
何度も目が覚めると、完全に寝不足状態。
寝不足でも、拓真たちと遊園地へ行くのは、全然平気だって思えた。
いつもより、ちょっとだけオシャレをしてみた。
そして、家族には元気に挨拶をして家を出た。
オシャレと言っても、メイクはしていない。
制服以外では普段……絶対にスカートを履かない。
今日だけは、拓真とデート気分を味わってみたくて、ちょっと背伸びをした。