太陽に恋をした
はりきり過ぎて、早く家を出過ぎたのか……駅に到着すると――まだ誰も来ていなかった。
時計を見ると、約束の時間までは15分もあった。
家に居ても、気持ちがはやり落ち着かないから、早めに家を出たんだけど……ちょっと、早すぎたかな?
そんなことを考えているうちに、3人が一緒に歩いて来たのが見えた。
「……お待たせ、菜月」
3人の声が、綺麗に揃っていた。
「そんなに待ってないよ。私も、いま来たところだから……」
「早く行こうぜ」
張り切った拓真は、切符売場へ走り出した。そんなに急がなくても、遊園地は逃げないのに……。
電車に揺られること1時間……目的地に到着した。
遊園地に着くと、私たちはテンションが上がった。
『あれに乗ろう、次はこれに乗ろう』など、すべての乗り物を制覇するくらいの勢いで、色々と乗りまくった。
「そろそろ、飯食おうぜ」
拓真の一声に、ふと時計を見ると12時を過ぎていた。
「菜月は何が食べたい?」
拓真から聞かれ、返答に迷った。
だけど、本当のことを話すことにした。
「実は……私、お弁当作ってきたんだ」
「スゲェー菜月。デートじゃないのに、結構気が利くじゃん」
拓真のその一言に落胆した。私はダブルデート気分でいたのに……拓真にはそんな気持ちの欠片も無かったんだと気付かされた。
しょうがないよね……拓真は、私の気持ちも亜希の気持ちも分からないんだから。
遥斗の気持ちは、分からないけど……。
亜希だって、私と同じ気持ちでいたはず。
亜希は今日……遥斗に告白するつもりらしい。
この後に乗る、観覧車の中で……。
「早く、昼飯食おうぜ。俺、飲み物でも買ってくるから……」
そう言うと遥斗は、売店へ飲み物を買いに行った。
「おい、遥斗。1人で持ちきれないだろう。俺も行くよ」
拓真は先に行った、遥斗の後を追い掛けた。
拓真と遥斗が両手にドリンクを戻ってきたので、私たちはランチタイムにした。
「菜月がこんなに料理出来るなんて意外だった。どっちかって言ったら……亜希の方が料理上手な雰囲気あるよな。この前のカレーは見事って思ったけど」
「遥斗も? 俺も、そう思ってた」
「ちょっと、失礼な……私だってカレー以外にも簡単な料理くらい作れるよ」
あんなこと言われたままでは、悔しいから私は2人に反論した。
作ってきた、おにぎりやサンドイッチ・唐揚げとサラダは、あっというに全て平らげてしまった。
「菜月、旨かったよ」
拓真のその一言に、胸がキュンとなる。
遥斗と亜希からも、同じことを言われ、嬉しかった。
「また機会があったら、菜月の手料理を食べたいな」
拓真の一言に、私は喜びを隠し切れなかった。
「うん。いつでもいいよ」
拓真と約束を交わした。
「ねぇー、そろそろジェットコースターと観覧車に乗ろうよ」
亜希が、そわそわしながらそう言った。
「そうだな……じゃあ行こうぜ。まずはジェットコースター乗りにさ!」
拓真がそう言ったので、ジェットコースターの前へ行き4人で列に並んだ。