太陽に恋をした

私の勝手な憶測は膨らむばかり……一方の拓真は続けて喋っていた。

「菜月にも、早くレギュラーになってゲームに出て欲しいんだ。試合に出ると、菜月だってもっとバスケが好きになるはずだから」

私は、確信を得るために拓真に聞くことにした。


「拓真、練習始める前に一つ聞いてもいい?」

「うん、何?」

「もしかして朝練を先生に頼んだのは、私の苦手な部分を克服する為だったの?」

「まぁそれもあるけど、俺は才能がないから、努力しなきゃプロにはなれない。だから少しでも多く練習したいって思ったからだよ。もちろん、菜月にも早くレギュラーになって欲しいから誘ったんだけどさ」

「ありがとう、早く始めよう。朝練出来る時間は30分しかないでしょ」

「そうだな」

それから、フリースローの練習などをして朝から汗を流した。

1on1では、私がボールを奪えるように、拓真はわざと手を抜いてくれた。

こんな風に、拓真とバスケするなんて思いもしなかった。

朝練を終えて、拓真と2人で教室に行くと……何故かクラスメイトがニヤニヤしていた。

そして、学級委員の草野くんが口を開いた。

「お2人さん、やっとくっついたのか」

私は、すぐに皆の勘違いに気付いた。

だけど……拓真は全く気付いてる様子がない。

「はぁ、何のこと。俺と菜月は、朝練してただけなんだけど……」

「なんだ、そうだったのか? てっきり2人はくっついたのかと思ったんだけどなぁ。俺たちの勘違いだったのか残念だな」

「俺と菜月が付き合う訳ないじゃん。俺たちは友達なんだから」

拓真の口から出た聞き飽きた言葉に、私は激しいショックを受けた。

もう何度も同じセリフを聞いてるのに、こんなにショックを受けるなんて、私って本当に馬鹿だよね。

ショックを受けてるっていうのに、告白する勇気もなく、結局は現状の友達で満足してしまうなんて……。


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