太陽に恋をした
それに、稲葉くんはカッコいい男の子だと思った。
これが、拓真との出逢いだった。
「引っ越してきたばかりなら不安なんじゃない」
「うん……知ってる人がいないから……。実は、池谷さんと話し掛けるのもかなり勇気を出したんだよね」
ほんと、そうだと思う。
だって……皆は小学校からの顔馴染みだから仲良し。
初対面の人に、話し掛けるのは、かなり勇気がいることだと思う。
きっと……私には出来ないだろう。
私は最初は人見知りをするタイプで、話し掛けられるのを待っていることが多い。
亜希と仲良くなった時も、話し掛けられたのがきっかけだった。
そして仲良くなると、何故か言いたいことは何でも言えるようになるのが自分でも不思議に思う。
稲葉君は、クラスの男子の中で群を抜いてカッコイイと感じた。
それに……すごく優しくて、話しやすい印象だった。
私は最初に稲葉くんと目が合った瞬間、ドキドキして一目惚れしたかもしれない。
話し掛けられた時も、心臓のドキドキが止まらなかった。
話し終わった後も、私は無意識のうちに稲葉君に見とれてしまい、胸の鼓動はどんどん高鳴った。
稲葉君に見とれていた私は、亜希に話し掛けられたのも気付かなかった。
「ねぇ、菜月ってば、あたしの話し聞いてるの」
「ゴメン、何?」
「菜月の隣の男の子、知らない人だよね」
「うん、さっき少しだけ話したんだけど……最近、引っ越して来たばかりなんだって」
「そっか……じゃあ彼は転校生に近いね」
それ……確かに言えてるかもしれない。