太陽に恋をした


迎えたスキー合宿。初日は、合宿所内の雪でスキー板に慣れる練習だけが行われた。

スキー場へ行くのは、明日からとなっている。

経験のある人達は、つまらないって……言ってた。

だけど初心者の人はみんな、スキー靴で歩くのさえ苦痛の表情を浮かべてた。

私もその1人で思うように足が進まず……グループから遅れてしまった。

歩くだけで、足が痛くなり明日からのスキーが、すごく不安になった。

「菜月、歩くの遅れてたけど……大丈夫か?」

話し掛けてきたのは、拓真だった。

「だっ、大丈夫だよ。スキー靴で歩くのが、思った以上に苦痛だったんだ」

「慣れれば、スキーは楽しいから……あんまり不安にならずに楽しめばいいんだよ。それに菜月は運動神経は良いから、直ぐに滑れるようになるだろうから」

「うん。拓真……励ましてくれてありがとう」

そう言った、拓真の頬はほんのり赤くなっていた。

もしかして……照れてる?拓真でも、照れたりするんだ……って思ったら、なんだかちょっと可愛く見えてしまった。

拓真の言葉で、楽しい思い出作りをしようって決意をした。

このスキー合宿が終われば……もうすぐ3年生。

高校受験という、壁が待っている。

でも今は、スキーを楽しむことだけを考えた。

今いる場所は、スキー場じゃないから……明らかに作られた小さな雪山で、主な練習は転び方や足を八の字に開くなどだった。

スキー板をつけると何故か楽しくなり、早く明日になればいいのに……って気持ちが湧いてきた。

基礎はバッチリ?身に付いたと自分では勝手に思い込んだ。

私は、何度も雪山を滑る練習を繰返した。



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