太陽に恋をした
途方に暮れて泣き出しそうになった時だった。
「……菜月」
うっ、嘘――私の目の前に現れたのは拓真だった。
「何してんだよ。みんな心配してんだぜ」
「ゴメン……いつの間にかコース外れたみたいで……」
「無茶していきなり上級者コースを滑るなんて……。でも、無事で良かった。そんな大きく外れてなかったから、すぐに見つかったよ。菜月の姿が見えないからって、みんな心配してんだぜ」
「心配かけて、ゴメンね。拓真、本当にゴメン」
ずっと涙を流すのを我慢していたけど、もう溢れる涙を堪えることが出来なくなった。
「ったく泣くなよ。早く、行こうぜ。宿舎に帰る時間が迫ってるから」
えっ!! 私……今、拓真に抱き締められてる?
すごいドキドキしてる。それと同時に拓真が集合時間って言ったのを思いだし……もうそんな時間になってるのと思った。
1回しか滑れないなんて……私どんだけ、コース外れたんだろう。
でも……助けに来てくれたのが、拓真だったことが何より嬉しかった。
拓真の後をついて行きながら、集合場所まで滑ってたどり着くことが出来た。
拓真が探しに来てくれなかったら、大変なことになるところだった。
私がみんなの前に姿を見せたら、亜希と遥斗がすぐに駆け付けてくれた。
「菜月、大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「拓真ったら、菜月の姿が見当たらないって、大騒ぎして、俺が探しに行って来るって1人で慌ててたんだよ」
「……えっ!?」
遥斗から聞いた言葉にビックリして、私は思わず拓真の方を振り返る。
「……」
拓真は顔を赤くして、黙ったままでいる。
「菜月にも、拓真の慌てた顔、見せたかったな」
遥斗に続いて亜希も、拓真のことをからかって遊んでいる。