太陽に恋をした
このクラスには、知らない人は、ほとんど居ない。
引っ越してきたばかりの、稲葉くんは、転校生と言ってもいいくらい。
亜希と話していたら、いつの間にか、稲葉くんの周りは人が一杯になっていた。
集まって来た人は、ほとんどは女子だった。
彼女いるの? って質問され、稲葉君は『いないよ』と即答していた。
でも稲葉君は、今の状況に困っている様に見えた。
それでも、笑顔を絶やさずに話している。
それに、稲葉くんはかなりのイケメンだから、みんなが夢中なるのも分かる。
私もさっきほんの少し話しただけで、稲葉くんのことを好きになってしまったから。
担任と思われる先生が教室へ入って来ると、みんな自分の席に戻って行った。
簡単に自己紹介だけをして、今日は終わりになった。
私は亜希の二人で、帰ろうとした時だった。
突然……稲葉くんから、話し掛けられた。
「池谷さん、俺も一緒に帰ってもいいかな?」
私は、亜希にアイコンタクトを送った。
亜希はウインクをして頷いたので了承してくれたんだよね。
「うん。私たちで良かったら一緒に帰ろう」
そして三人で、帰ることにした。
「菜月は、何部に入るつもりなの? それとも、もう決めてるの」
亜希が、部活の話をしてきた。
「うん、私はバスケ部に入るよ」
「そうなんだ……実はあたしもバスケ部に入ろうかなって思ってたの」
「それなら、一緒にバスケ部に入ろうよ」
「あのさ……実は俺も、バスケ部に入るんだ。小学校からずっとやってて、楽しいから」
稲葉くんは、積極的に私たちの会話に入ってきた。
男女別だけど……稲葉くんと同じ部活になれるのは、凄く嬉しかった。