太陽に恋をした



拓真と2人きりで、出掛けるなんて……初めてだから思わずニヤけてしまう。



笑顔で待ち合わせ場所の映画館へ行くと、拓真は来ていた。



「おはよう拓真。ゴメン、待った?」



「おはよう、俺も今来たとこ。じゃあ行こう」



私は頷いて、拓真の後を追い掛けた。



手を繋ぐタイミングは、今じゃない気がした。



映画が終わって、ランチに行く時がタイミングだと思い、前を行く拓真に並ぶように走って追い付いた。



「今日の菜月、はしゃぎすぎじゃない?」



はしゃいでるんじゃないってば……本当に鈍いんだから。



「違うって、拓真が歩くの早すぎなんだよ」



「ゴメンゴメン」



「分かればよろしい」



「じゃあ、菜月の歩幅に合わせるよ」



ちょっと拗ねてみたら、拓真が優しい言葉を掛けてくれたのが凄く嬉しかった。


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