太陽に恋をした
時間が経つのは早く、気付けば卒業式を迎えていた。
あの日、拓真に告白する決意を固めたけど、いざ当日を迎えるとちゃんと言えるか不安になってきた。
今日でこの学校に来るのが最後だと思うと寂しかった。
「菜月おはよう。卒業するのはちょっと寂しいけど、でもさ、みんなで同じ高校に行くんだから良かったよね」
「そうだね。昨日の合格発表はかなり緊張したけど、4人でまた同じ学校に通えるんだもんね。本当に良かったよね。ところで亜希は遥斗から第2ボタンを貰う約束してるの?」
「そんな約束してないよ。それに私は遥斗のこと信じてるから。菜月はちゃんと拓真にお願いしなよ。どうせ告白する勇気ないんでしょ」
「そうだね。今のうちに予約しておかないと拓真のボタンは確実に全部無くなるよね」
「噂をすれば来たよ。じゃあ、私は自分の席に戻るね」
「うん」
「よっ、菜月おはよう」
「おはよう。あのね、拓真にお願いがあるんだけど」
「お願い?何」
「卒業式が終わったら、場所は何処でも拓真の学ランのボタン貰える」
「あぁ、別に構わないぜ。どうせ渡したい相手なんて居ないから、菜月に第2ボタンをやるよ」
「本当に良いの?」
確認のため、聞いてみると拓真は笑顔で頷いた。