太陽に恋をした
拓真も遥斗も、腕のボタンまで全部無くなってボロボロになっていた。
「拓真は本当にモテモテだね。ボタンが全部無くなるなんて」
「別に好きな人がいる訳じゃないから、どうでも良いけど」
「あのね、拓真に話があるんだ」
「何だよ、改まって」
「此処じゃちょっと、こっちに来て」
私は強引に拓真の腕を引っ張り、人気の無い裏庭に連れ出した。
「何だよ、こんな所に連れて来て」
「あっ、あのね、私……拓真のこと好きなの」
「菜月、今さら何言い出すんだよ。俺も菜月のこと好きだぜ。友達なんだから当たり前だろ。菜月とは男友達感覚で話せるから気楽だし。高校行ってもよろしくな」
拓真からの返事に私は呆然となった。
入学してから、ずっと言えなかった、たった二文字の『好き』って言葉。
やっと勇気を出して言ったのに、告白だと気付いてもらえなかった。
何処まで鈍感なのよ、いっそ嫌いになれたら良いのに……そう思ってしまった自分がいた。
嫌いになんてなれるはずないのに……私は、ただ呆然とするばかりで、涙は1滴も出なかった。