太陽に恋をした

そして、迎えた臨海学校当日。

初日の昼間は、海岸のゴミ拾いや、漁師さんの仕事を体験した。

夜は、胆試しが行われる。

私はお化けとか嫌いで、スタート前から既に恐怖で怯えていた。

くじ引きの結果……拓真とペアになれたことが、何よりも嬉しかった。

「ねぇ……拓真は、お化け屋敷とか平気なの?」

「うん。好きではないけど平気だよ。菜月は、もしかしてこういうの苦手」

「なっ、何で分かったの」

「だって、まだスタートしてないのに、かなり震えているんだもん。バレバレだっつうの」

「その通りだよ。私……お化けとか大嫌いだもん」

怖がっている私を見た拓真は、さりげなく優しく手を繋いでくれた。

拓真の手……温かいな。心臓の鼓動が拓真に聞こえるんじゃないかってくらい、今の私はドキドキしている。

胆試し中は、怖くてずっと拓真にしがみついていた。

その間は、私は拓真の恋人気分を味わえたから至福の時を過ごせた。

怖かったけど、何事もなく無事にゴールすると、同じグループの亜希や遥斗達が待っていた。

「ちょっと……遅いよ2人とも」

遥斗は笑顔で、私と拓真に話し掛けてきた。

「菜月が怖がってさ……ずっと、俺にしがみついているから、それを見てんのが面白くてさ。みんなにも菜月の百面相見せたかったな」

「ちょ、ちょっと拓真、それは言わない約束でしょ」

「ゴメン菜月、つい口が滑ってしまった」

「もう〜、拓真のバカ」

怒りを爆発させた、私は拓真の肩をバシバシ叩いた。


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