私立聖ブルージョークス女学院
「でもな、先生。日本のことわざにあるやろ。ええと、確か、ゲイワ……ミヲタスケル……やったかな。それでその本を選んだだけなんやけど」
え?ああ、「芸は身を助ける」か。
「ちょっと待ちなさい。それとこの本とどういう関係がある?君はことわざの意味を分かっているのか?」
「わかっとると思うんやけど。なら、先生、今あらためて説明してくれへん?」
僕はホワイトボードにマジックペンでその言葉を書き始めた。「芸」という最初の一文字を書いたところで、リン・ジンファンが声を上げた。
「ちょっと先生。それや。その字がどういう意味か、ウチ、よう分からんねん」
「え?君は台湾人だろ。この程度の漢字を知らないはずはないと思うが?」
「いや、見たことないんや。ひょっとして『峠』みたいに、日本人が作った漢字とちゃうのん?」
「ううむ、そんなはずはないと思うが……あ、ちょっと待て」
ちょうど部屋の隅に国語辞典があるのを見つけたので、僕は「げい」の項を探し、ふとある可能性に気づいた。そしてホワイトボードにこう書いた。
『藝』
するとリン・ジンファンが手をパンと叩いて叫ぶように言った。
「あ、それなら分かるわ。ゲイジュツとかの『ゲイ』の事かいな!大陸の簡体字とも違うんやな。ウチは台湾人やから繁体字でないと分からん漢字が多いねん」
え?ああ、「芸は身を助ける」か。
「ちょっと待ちなさい。それとこの本とどういう関係がある?君はことわざの意味を分かっているのか?」
「わかっとると思うんやけど。なら、先生、今あらためて説明してくれへん?」
僕はホワイトボードにマジックペンでその言葉を書き始めた。「芸」という最初の一文字を書いたところで、リン・ジンファンが声を上げた。
「ちょっと先生。それや。その字がどういう意味か、ウチ、よう分からんねん」
「え?君は台湾人だろ。この程度の漢字を知らないはずはないと思うが?」
「いや、見たことないんや。ひょっとして『峠』みたいに、日本人が作った漢字とちゃうのん?」
「ううむ、そんなはずはないと思うが……あ、ちょっと待て」
ちょうど部屋の隅に国語辞典があるのを見つけたので、僕は「げい」の項を探し、ふとある可能性に気づいた。そしてホワイトボードにこう書いた。
『藝』
するとリン・ジンファンが手をパンと叩いて叫ぶように言った。
「あ、それなら分かるわ。ゲイジュツとかの『ゲイ』の事かいな!大陸の簡体字とも違うんやな。ウチは台湾人やから繁体字でないと分からん漢字が多いねん」