私立聖ブルージョークス女学院
 カウンターに近づいた僕は、一瞬固まりそうになった。店員さんは女性、それも彼女たちとたいして年の変わらない女の子じゃないか。ま、まずい。ここは何としても、しらばっくれ通さなければ。
「あら、この方、みんなの知り合い?」
 不意にその店員の女の子が言った。名取が答える。
「ああ、今年来た新任の先生だよ。でもって、あたしたちの寮の副寮監。あ、先生。この人は渡瀬詩織さん。あたしたちの先輩で、去年うちの学校卒業して今は隣町の女子大に行ってるんだよ。たまにここでバイトしてるから、あたしたち、時々会いに来てんの」
 彼女は「まあ」と言ってにっこり僕に微笑みかけた。よく見たらとんでもなく美人だなこの子。スタイルも抜群だし。
「それじゃ私と入れ違いですね。この後輩たち、さぞ手を焼いたでしょ?」
「い、いや、そんな事は……あはは」
 僕は祈るような気分でDVDを彼女に手渡した。大丈夫、タイトルだけならAVとは気づかれないはずだ。落ち着け、自分。堂々と振舞っていればかええて気づかれないはずだ。
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