私立聖ブルージョークス女学院
 ははあ、新入りの先生、とか何とか書いてあったか。僕は「おお!」と威勢よく答えて、ジャージの上着をその場に脱ぎ捨て、彼女に手を引かれてゴールまで全力疾走した。
 どうやら僕たちは最初にゴールにたどり着いたらしい。槇明日香は手に持った紙を判定係の綾瀬先生に渡す。綾瀬先生は、なぜか数秒間「うーん」と言って考え込んでしまった。
 ここでオーケーが出なければアウトなのだが、何をそんなに悩んでいるのだろう?
 やがて綾瀬先生は意を決したように大きくうなずいて、「よろしい!」と言った。槇明日香は「やったー!」と叫びながらゴールテープを切る。
 僕はどうにも気になったので、彼女が持っていた紙を覗き込んだ。そこにはこう書いてあった。
「皮で包まれた物」
 僕は振り返り槇明日香に怒鳴った。
「こら、槇!それはどういう意味だ?!」
 それから僕は判定係の綾瀬先生に向き直って言った。
「先生も先生でしょうが!なんでこれがオーケーなんですか?と言うより、なんで綾瀬先生にそれが分かるんですか?失礼な!」
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