サヨナラをいうまえに
結局、リョウスケ先生が私の病室へ来たのは11:00頃だった。
「あ、ちゃんと大人しくしてますね」
遅れたことの説明なんてナシ。
ベッドのリクライニングを起こしてボーっとしている私を見て、
ほっとしたような声を出した。
言いたいことはたくさんあるけど……。
「先生、時間、ある?」
「え?あー……5分くらいなら」
「オッケー。そこの椅子に座って」
不思議そうな顔をしながらリョウスケ先生が腰をおろす。
私は枕元の棚においてあった牛乳とバナナを差し出した。
「はい、食べて」