雨をあびるアジサイ


「今行くから。その車ちょっと待って!」


美里は、ぼくの車をどこかのバスか何かのようないいぶりで引き止める。


カツカツとヒールの音を響かせ駆け下り、助手席に乗りこんできた。


「樹(いつき)、ごめんね。遅れちゃって」


シートに座りながらいった美里の頭に視線をやって。


瞬間、ぼくは目をむいた。


「ど、どうしたんだよ……それ?」
< 10 / 200 >

この作品をシェア

pagetop