雨をあびるアジサイ


――プルルルルッ…プルルルルッ!


突然鳴り響いた電話に反応して、美里からかと思ってガバッと立ち上がった。


こぼれたコーヒーが生乾きしてベトベトになった、ビターな匂いのする床をさけて、子機に急いで手を伸ばす。


『もしもし? 起きてたか?』


朝いちにもっとも聞きたくない野太い声。


「あ、ああ……」
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