雨をあびるアジサイ


無言の受話器を耳に当てたまま、ぼくはベランダへ通じる窓の前に移動した。



――ザァァァァァ……ッ!



反射してぼんやりと映る、生気の抜けた自分自身。


窓の裏側に当たってはすべる雨粒は、まるで涙のように顔を濡らしていく。
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