雨をあびるアジサイ




「わかってる……わかりきってる。美里に罪がないってことくらい。でも、どうしても切り離せないんだよ。どうしても……!!」





あらためて記憶をたどることで、今まで静かだった感情の温度が少しずつ上がり始め、語気が強くなる。


つかむところのないテーブルのガラスに手を当て、右手でぐぐっと握りしめる。


伸びかけていた爪が手のひらに食いこみ、うっすらと血をにじませた。

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