雨をあびるアジサイ


この雨では、当然、ぼく以外にひと気があるはずもない。


だが、なかへ入って目を細めながら見わたしたとき、遠くでうずくまっている誰かの姿をとらえた。


「……いた」


ぼくは近づいた。


あれが誰で、どうしてそこにいるのかはわかっていたからだ。

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