雨をあびるアジサイ


車をおりて野次馬をかきわけた。


「どこだよ……亜紀……」


最前列で燃え盛る炎のなか亜紀の姿を探したけれど、近づくこともできない火の勢い。


「くそっ……!!」


それでも突っこもうとしたが、消防隊の人たちにおさえられた。


「亜紀、亜紀、亜紀……」


ぼくは、ただ名前をつぶやきながらうずくまった。
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