雨をあびるアジサイ


マスターの言葉を聞いた瞬間。


記憶がすさまじいはやさでさかのぼり始め、重要なピースを次々と拾い集めた。


そして、おぼろげに、ほの見える、ひとりの姿。




『亜紀ちゃんだよ』





「亜……っ!!」




近くに美里がいることを忘れて復唱しようとした。


けれど、間一髪で意識が追いつき、あわてて口ごもる。
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