インサイド
「できるだけ先生の課題と重ならないようにと思ってたんだけど、千帆ちゃんの場合はどうしても重なるしかないと言いますか、あのねぇ」

と、急に姿勢を崩し、身を乗り出した。

「もったいないよ、その手が。反応良くて反射良くて速いって、クリアな特技があるんだから、さらに上の千帆ちゃんのピアノが弾けるところをちゃんと目指した方がいいんだって、絶対。得意なものが増えた方が、人生楽しいと思うわけです」

……「はい」


人生。

なにやら壮大な方向に話が進んではいないか?

褒められているのか叱られているのか。境目も曖昧だ。

「まぁ、あまりたたみ込んでも嫌になられちゃうだろうし、サポート隊が追い詰めたら話になんないわけだから、何かやりたいことがあれば、方針と組み合わせて考慮するんだけど。何かある? こんなんやってみたいんだけど、ってやつ」

「希望、ですか?」
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