インサイド
「高校入ったらやろうと思ってたコト、とかでいいよ。オケと弾きたいとか、クラシック枠から出たいとか、あぁ、他の楽器をやりたいは今はちょっと困るんだけど、先生には言えなかったけど弾きたかった曲とかあれば」
オケに関しては、それがオーケストラであることに、間を取らなければ気付かないほどに疎い千帆だった。
クラシック、の枠がどこにあるのかも実はわかっていないし、他の楽器への興味も薄い。
なにしろ、隣の席の男子生徒に専攻は何かと聞かれて初めて、ピアノではない人もいるのかと思い当たった娘なのだから。
弾きたい曲ならば、いろいろとある。
受験が済んだならあれもこれもと、難曲と呼ばれるものを蹴り崩す時を待っていたのだ。
壮大な技巧をもって知られるそれらのタイトルが頭をめぐり、けれど最後に残った選択肢はあたためていたそれらのどれでもないものだった。
「私」
「うん」
「弾きたい曲ならあります、さっき思ったんです」
「さっき?」
オケに関しては、それがオーケストラであることに、間を取らなければ気付かないほどに疎い千帆だった。
クラシック、の枠がどこにあるのかも実はわかっていないし、他の楽器への興味も薄い。
なにしろ、隣の席の男子生徒に専攻は何かと聞かれて初めて、ピアノではない人もいるのかと思い当たった娘なのだから。
弾きたい曲ならば、いろいろとある。
受験が済んだならあれもこれもと、難曲と呼ばれるものを蹴り崩す時を待っていたのだ。
壮大な技巧をもって知られるそれらのタイトルが頭をめぐり、けれど最後に残った選択肢はあたためていたそれらのどれでもないものだった。
「私」
「うん」
「弾きたい曲ならあります、さっき思ったんです」
「さっき?」