インサイド
 千帆が簡単に転がされてきたところからしても、裕明の優秀さは決定的だった。

自分が何を確かめたかったのか、思い出せないのを不思議に思いながら、オレはしばらくその場に立ち続けていた。

しばらく――音が耳に戻ってくるまで。

 それでも理由は記憶に欠けたままだったけれど、巣に戻ることの方は思い出して歩き出す。

まぁ、情報収集だったのだろう。そう決めて納得した方がいい。

何か予感があったのではないか? そんな疑問を抱くより。


『僕は幸運だ。運命に出会えた』


 運命。
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