インサイド
「私のことー、きっと変な子だと思ってるーっ」

 ……などと、世にも悲痛な叫びが届いた。

変。
それはそんなところもあるだろうが、世の中平均的に考えて。

まぁでも平均的な少女像だよなぁ、と妥協もできる程度だから、叫ぶほどに悩むこともないから、安心していいと思うぞ、千帆。

「でもでも、聴きたかったんだよう。どうしても聴きたかったんだもんー」

子供のようにじたばた暴れ、ぴたりと止まり、唐突に静寂。

やがて、染み込むように、静かな声で、

「あー、かっこよかったなぁ。あの曲、弾きたいよー。なんで忘れてるんだーっ」
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