インサイド
 身長だけを取ってみてもそう言えるけれど、印象を左右しているのはもっぱら容貌の方だった。

顔が幼いのだ。子供顔である。

その少女、けれど制服を着ているのだから高校生だ、彼女を裕明は抱き上げ、しっかり床に対して垂直になるように設置した。

「たーちゃんを探してたんだよ。あのね、これこれっ」

手にした紙を、振り回す。

「なにそれ」

「見てみて、とにかく」

 そこに書いてあるものを見せる目的で体中をめいっぱい伸ばした結果は、裕明の目には近すぎた。

首を引いて一瞥するとふいと顔を反らし、そのお嬢さんの頭を指差して、

「千帆ちゃん、このヒト、」

 言えたのはそこまでで、すぐに本人が割り込んだ。

なんだろう、この迫力は。そして音の大きさは。


「こんにちはっ。いつもたーちゃんがお世話になってます」

「は。いや、あの」
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