インサイド
「指をダメにしてどーすんだよ。奏、読書禁止。あんまり変な本に手を伸ばさない」
 
裏手ではたかれた頭がいい音を立てた。

ひどい……。

言って、奏は両手でおさえる。

親しすぎ、と言うよりも、仲良すぎ。

じゃれているようにしか見えない二人を目に映し、千帆は内側に大風を起こしていた。


嵐目前。風強し。




――「タツさん!」
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