インサイド
「千帆ちゃん、こっちは麻生君、二年生。チェロ弾き。だからの言い分はともかく、ちょっとピアノはおもしろいよ」

「なんだ、おまえ成瀬か。千帆ちゃんて」

「成瀬、千帆です」


 そうでなくてもいい、ような空気をかもし出し、千帆は一応、頭も下げた。

呼び捨てて当然な呼ばれように、かちんと来ていたために、一応。

先輩なのだから許されるかもしれないが、それまでの空気をぶち壊す、乱入に等しい現れ方をした二年生に好意は持ち難い。

と、思っていたのだが。
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