インサイド
「兄弟子だな、キミには。いずれゆっくりお手並み拝見つーことで」
真っ直ぐに差し出された手に、そんな考えはさっさと崩れかけていた。
大きな手は、
……汗だくだった。
だから、『一部屋一部屋見て回ったよ、校舎半分!』。
崩れかけていた塔が、堅固にぴしりと凍りついた、かもしれない。
「千帆ちゃんの演奏披露にみんなで、この曲を四重奏に分解してみよっか」
「ピアノピアノチェロ、で、たーちゃんはヴァイオリンにする?」
「ピアノ三台対チェロ一台。一河は命がけ。大変なヒト」
「オレ様の命はそんなもんに果てませんって。いいよ、行きましょー? 勝つよー、オレは」
言い終えて少々間を置き、麻生は譜を持ったまま両腕を振り上げた。
誰も何も言わずとも、自分で気付いたのだ。
乗りかけてはいけない船に。
真っ直ぐに差し出された手に、そんな考えはさっさと崩れかけていた。
大きな手は、
……汗だくだった。
だから、『一部屋一部屋見て回ったよ、校舎半分!』。
崩れかけていた塔が、堅固にぴしりと凍りついた、かもしれない。
「千帆ちゃんの演奏披露にみんなで、この曲を四重奏に分解してみよっか」
「ピアノピアノチェロ、で、たーちゃんはヴァイオリンにする?」
「ピアノ三台対チェロ一台。一河は命がけ。大変なヒト」
「オレ様の命はそんなもんに果てませんって。いいよ、行きましょー? 勝つよー、オレは」
言い終えて少々間を置き、麻生は譜を持ったまま両腕を振り上げた。
誰も何も言わずとも、自分で気付いたのだ。
乗りかけてはいけない船に。