インサイド
「小野里先生のレッスン、取ってみよう、千帆ちゃん」

「ええぇっ」

反射的に声をあげていた。

「今度はなんスか。ええかげんにせぇよ。担ぐよ、オレは」

「まったく堪え性がないんだから。待っていなさい、二十秒」

 指を突きつけられて麻生は、少しひるんだ素振りを見せた。

師匠の命は絶対なのか、と思えば立ち直りすばやく、小さく数を数えだす。

小さいけれど、確実に裕明には届く程度に声にして。

「希望選択、まだ間に合うでしょ。今聞いた程度の変な人だから大丈夫。ちょうどいいや、話はしておくから」

あぁっ、でも!

言葉を挟む間は与えられなかった。

続く瞬間に、裕明はすでに奏にと向き直り、
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