インサイド
「青山さんって、おうちはどこなの?」

「すわ」

「す……?」

「長野なの、奏の家はね。それで学校通うために、たーちゃんちにお邪魔してるんだ」

あ、諏訪か。

漢字変換に成功し、聞いていた同居の噂(それも知りたくはなかったような)を当人の口から確定保証され、そして予定されていた答えは手に入っていないことを理解する。


 どこの駅まで行くのかと、そこから話をしようと思っていたのよ、私としては。


 自転車でも来れるのだから、それほど遠くではないのだろう。

う、と思い出す。

そう、自転車に乗せてもらったり、そんな幸せを手にしているんだ、この子は。


「奏のことはね、奏でいいよ。これはねぇ、魔法のかかった名前だから、呼んでもらうほどいいんだって」


ま。
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